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値上げしない「よっちゃんいか」の心意気

値上げしない「よっちゃんいか」の心意気

値上げラッシュが続いているが、実質赤字ながらも価格を据え置いている定番食品がある。駄菓子界のエース「よっちゃんいか」。値上げを踏みとどまる理由はただ一つ、「消費者に納得してもらえない」からだ。主に小学校低学年を中心とした子供たちの財布を物価高から守るため、「よっちゃん」は歯を食いしばっている。

 昨年以降続く原油高は、駄菓子業界も直撃している。「うまい棒」(10円)の「やおきん」(東京)では、これまでの約11.5センチから約9.5センチに短縮し、「他製品でも内容量を減らしたり、卸価格を値上げしております」(広報)。「蒲焼き屋さん太郎」など「太郎シリーズ」(10円)を手がける「菓道」(茨城)でも、1枚あたりの大きさや容量を減らすなど地道な努力をしている。

 ところが、“よっちゃんいか”の愛称で知られる「カットよっちゃん」(30円)は価格、容量とも一切変えておらず、当面改訂する予定もないという。

 「よっちゃん食品工業」(山梨)の担当者は「『カットよっちゃん』単体では、包装材やフィルムの値上げだけでもすでに限界。それでも、他のブランドはともかく、あれだけはどうしても値上げすることができないのです」と打ち明ける。

 「弊社の定番商品ですし、長年ご愛顧頂いているのは、ほかならぬ子供たち。わずかな値上げでも、とても納得はして頂けないでしょう。営業サイドも、とても問屋さんに提案できませんよ」と苦笑いする。

 原油高騰以外にも、主な原料となる国産イカの全国一斉休漁が、値上げリスクとして「よっちゃんいか」を襲う。「原材料は生イカではなく、乾燥やボイルされた加工イカなので、当面は問題ありませんが、イカ相場がいま以上の値上げ局面ともなれば、今後の影響は分かりません」(担当者)。今後の動向次第では、いよいよ心意気かビジネスか、究極の選択を迫られる可能性も示唆した。

 「駄菓子の夢博物館」(大分)館長で、自らも駄菓子店を経営する小宮裕宣氏も「毎日のように値上げの紙を張らなくてはいけないほど値上げ商品が相次ぐ中、よっちゃん食品工業には本当に頭が下がります。5円10円の値上げでも、子供たちにとって影響は大きい。可能な限り、子供たちの味方であり続けてほしい」とエールを送る。

 子供たちのはかない希望は、今後のイカ相場に委ねられることになりそう。
 
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